知らなかった熱い歴史の物語『灼熱』葉真中 顕〜終戦後のブラジル日本人を二分けした勝負戦争の真実〜

皆様こんにちは。

今回は、超大作『灼熱ー葉真中顕ー』をご紹介したいと思います。672ページもある分厚い本なのですがあっという間に読んでしまいました。

今まで知らなかった話ですが、本当にあった『勝ち負け抗争』をテーマにした物語です。こういう本を読むと、今まで命をつなげてきた日本人に感謝の気持ちと、自分も未来につなげて行かなければならないんだなぁ、という気持ちが湧いてきます。皆様も是非読んでみてください。

あらすじ

「日本は戦争に勝った!」
無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。
デマゴギーの流布と分断が進む現代に問う、渾身の巨篇。

沖縄生まれの勇と、ブラジルで生まれ育った日本移民二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠い地・ブラジルの日本人入植地「弥栄村」で出会った二人は、かけがえのない友となるが……。
第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死傷者を出した「勝ち負け抗争」。
共に助け合ってきた人々を過激な抗争へと駆り立てた熱の正体とはなんだったのか。
分断が加速しフェイクニュースが横行する現代にこそ問う、圧倒的巨篇。(amazonより引用）

著者は？

このテーマに挑戦されたのは『葉真中　顕(ハマナカ　アキ)』さん。1976年生まれの小説家、児童文学作家、推理小説家です。

主な著書に『ロストケア』『凍てつく太陽』『W警官の悲劇』など。最初は児童文学作家からのスタートだったそうです。失礼ながら存じあげませんでした。

この物語のテーマ『勝ち負け抗争』とは？

まだ日本になる前の大帝国時代、政府は日本国民のブラジルへの移民を国策として斡旋していました。

約20万人以上の日本人がまだ見ぬ新天地を求めて船で何ヶ月もかけてブラジルに渡ったと言われています。今の様に情報もほとんどない中、人生を賭けた決断をした日本人達。ブラジルに渡った後は、荒れ果てた土地を耕し、農作物を育て、ブラジル人からの差別・暴力に怯えながらも必死に働く。きっと、最初に聞いていた情報と違うという事もたくさんあったと思います。騙された、と感じた人もたくさんいたと思います。しかし日本大帝国、天皇陛下を信じ、必死に地べたで生きていたのです。

そんな中第二次世界大戦が勃発。

遠い世界で行われている世界対戦。本当に情報が入ってこない中ブラジルにいる日本人たちは、母国の勝利をずっと願って生きていました。。。。

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しかし日本は戦争に負けてしまうのです

そんな彼らの願いも虚しく、また何も国のためにする事もできず・・・日本は敗戦国となってしまいます。

戦勝宣言だと固く信じきっている彼らは、天皇陛下の玉音放送に耳を澄ませるものの、日本から気が遠くなるほどの距離の海を隔てたブラジルではちゃんとした電波が入ってくる訳でもなく、はっきりとした音で聞く事ができませんでした。

勝ったのか？負けたのか？どちらか分からない。

この恐ろしい状況の中、日本は日本は「日本は戦争に勝ったんだ！！」と人々を扇動する者が現れるのです。

「日本は戦争に勝った」という間違った情報を信じきっている「戦勝派」と、それとは反対に正しい情報を入手して信じた「戦負派」。

この相反する2派の抗争がとても悲しい結末を引き起こす事になるのでした。

現代の私たちに教えてくれる教訓があります。ぜひ読んでください。

勝戦派は「勝った」と信じて生きて行かないと、いつ日本にも帰ることができるかも分からないこの状況で、どこに望みを持って生きていけばいいのかも分からなかったのかも知れません。

もしかすると、心の底では負けた、という事が分かっていたのかも知れません。しかし、勝ったと嘘でも信じこみ、自分達の行動を正当化して生きて行かないと、生きていく事ができなかったのだと思います。

現代の私たちの世界でも、人種差別、宗教差別、戦争、、、、、沢山の問題がありますが、結局は全部自分よがりの考えが相手に対して暴力的な考え、そして実際の暴力行為に及んでいる元凶なのではないかと思います。

本来あるはずである、相手を思いやる心、相手を理解する気持ちを忘れずにいられれば「平和」な生き方をする事ができるのだと思います。

この本は、どこか遠いところでその事を教えてくれる、壮大な小説でした。

是非皆様も読んで見てください。

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